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転写箔とは?印刷の仕組みと転写箔の使い方を解説

転写箔とは、印刷業界で用いられる特殊な素材で、紙やプラスチック、布などの基材に金属的な光沢や色彩を加えるために使用されます。特殊な素材ゆえに、転写箔について詳細に理解するのは業界担当者でも難しく、箔を活用してみたいがどのように使えば良いか分からないという方も多いです。この記事では、転写箔の種類や印刷の仕組みについて詳しく説明します。転写箔がどのような印刷物に使われるかも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

転写箔とは

転写箔は別名「ホットスタンプ箔」などとも呼ばれており、紙だけでなくプラスチックなど、さまざまな材料に転写できるので、グリーティングカード、書籍の表紙などの印刷分野から、自動車部品や化粧品容器などの工業製品への加飾など目を引くデザインが求められる用途にも広く利用されています。

転写箔の種類

一般的に転写箔には、金属を蒸着した「蒸着箔」と顔料を塗布した「顔料箔」があります。
「蒸着箔」は、主にPETフィルムにアルミなどの金属を真空蒸着させて、メタリックな光沢を与えた転写箔です。
「顔料箔」は、「ピグメント箔」や「カラー箔」などとも呼ばれる、白や黒をはじめとする単色、メタリック顔料やパール顔料を含有するインクをコーティングした箔です。オフセット印刷のインクに比べて隠ぺい力(基材の地色に負けない発色する)が強いので、色の濃い特殊紙などに加工すると、通常のオフセット印刷では表現できない表情を与えることができます。

参考記事:顔料箔とは?顔料箔のメリットを解説

転写箔の印刷の仕組み

転写箔は、ベースフィルム(主にPETフィルム)に印刷された色やデザインを熱と圧力によって成型品に転写する技術(熱転写・ホットスタンプなどと呼ばれる)で表現します。転写箔によってメタリック調やパール調、マット感などの表現が可能です。

シルクスクリーン印刷などとの違い

シルクスクリーン印刷とは、色ごとに版をおこし直接インクを刷り込む印刷方法です。インクを調色することであらゆる色を表現することができ、鮮明な印刷ができるのが特長ですが、調色作業を必要とし、インクの乾燥時間がかかるというデメリットがあります。
一方、転写箔ではインクではなく箔を使用するため、カラーラインナップが限られるのがデメリットですが、調色・乾燥工程が不要で環境にやさしい印刷方法であると言えます。

転写箔のメリット

ここでは転写箔を活用するメリットを1つずつ見ていきましょう。

印刷では表現できない質感が出せる

転写箔を活用すると、印刷では表現できない光沢や煌びやかな輝度感、肉厚なマット感など、質感を柔軟に表現することができるので、他社製品とパッケージで質感の違いを見せたい時には最適です。

調色作業が不要

箔の製造時点で色が決まっているので、加工時に調色作業が不要です。印刷前後の色味の違いなども防げます。
溶剤系インクを使用している場合は、使用や保存に危険物に関する法令の遵守が求められますが、転写箔は溶剤等の危険物が製造加工段階で除去されているので、危険物ではありません。

リードタイムが短縮できる

他の印刷加飾方法がインクを「塗って乾かす」のと比較して、転写箔は「貼って剥がす」ので乾燥工程が不要となり、リードタイムの短縮につながります。

転写箔のデメリット

先程はメリットを確認しましたが、ここでは転写箔のデメリットも確認して、発注後の失敗を防ぎましょう。

細かな文字やデザインの表現が難しい

転写箔は転写するという印刷方法の特性上、細かな文字やデザインを表現することが難しい場合があります。

カラーラインナップに限りがある

一般的に転写箔に使用する顔料箔は、カラーラインナップが限定的で、表現できる色が限られる場合があります。

箔フィルムが廃棄物として発生する

転写箔では印刷加飾後に使用済みの箔フィルムが廃棄物として発生してしまいます。
しかし業界内では、使用済みの箔フィルムのリサイクルへの取組みや、紙をベースにして箔フィルムの廃棄物を出さない顔料箔なども登場しています。

転写箔の使い方・活用される製品

ここでは具体的にどのような場面で転写箔が活用されているか見ていきましょう。

紙素材への印刷加工

商品パッケージや書籍・ポスター・カタログ、グリーティングカードなど紙素材への印刷加飾に転写箔は使用されます。

ロゴの加飾やマーキング

家電製品、化粧品容器や文具などの商品ロゴを印刷する際の加飾に転写箔は活用されます。また、自動車部品や医療資材などへのマーキングにも活用されております。

転写箔は難しくない!自身で転写箔を活用して、箔の色合いを楽しもう

転写箔は熱転写を活用し、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷では表現できない色合いや質感を表現できるため、商品の差別化や環境保護の観点から工業製品への活用も進んでいます。
また、転写箔を活用して自身で紙素材や文房具の加飾を簡単に楽しめる印刷方法でもあります。
顔料箔のパイオニア的なメーカーであるKANMAKIは、転写箔の中でもニッチな存在である顔料箔の知られざる魅力をより深くお伝えしています。箔のポータルサイト箔々で顔料箔を使用した事例を公開していますので、ぜひご覧になり、箔を活用するきっかけにしてみてください。

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