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金属箔・メタリックホイルとは?種類と用途別活用術を解説

金属箔(Metallic Foil)は、アルミニウムなどの金属薄膜を転写することで、製品にメタリック光沢(ギラリと輝く鏡面効果)を与える箔です。全面が均一に輝く視認性の高さから、消費者の目を強く引きつけ、パッケージングや製品加飾など幅広く使用されています。
【金属箔の特徴】
・鏡のように均一なメタリックの輝き
・製品棚で目を引く強力なアイキャッチ効果
・シルバー、ゴールドなど多彩な色を表現可能
・紙用・プラスチック用金属箔など素材を選ばない
本記事では、金属箔の基本的な構造とメリット・デメリットから、紙やプラスチックへの具体的な活用事例、多様な種類までプロの視点で徹底解説いたします。
関西巻取箔工業(KANMAKI)は、独自の強みである顔料箔製造のノウハウに加え、金属箔については信頼できる他社との連携により、お客様の用途に最適な箔を提案することが可能です。貴社の製品価値を最大化し、競合製品との差別化を図るためのヒントとして、ぜひご活用ください。
目次
金属箔(Metallic Foil)の特徴・基本構造
金属箔(Metallic Foil)とは、広義には金や銀を薄く打ち延ばした伝統的な箔を指します。ただ、現代のパッケージングや製品加飾で一般的に使用されるのは「転写箔」としての金属箔です。別名「蒸着箔(じょうちゃくはく)」とも呼ばれ、特定の構造を持つ機能性材料*1です。
*1 役割が違う複数の層を重ねて目的の機能(金属箔の場合は光沢や耐久性)を発揮する素材
基本構造
金属箔(蒸着箔)は、ベースとなるPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、主に以下の層を重ねて作られます。
1.剥離層
転写時にPETフィルムから箔層が離れるための層
2.着色クリア層
色調を決定する透明なトップコート。これがない場合はシルバー(アルミそのままの色)となり、透明な黄色を重ねることでゴールドが表現されます。メタリックブルーやピンクなど、多彩な色調の製品はこの層の色を変えることで実現します
3.金属層
アルミニウムを真空蒸着(しんくうじょうちゃく)*2させた薄膜。この層が鏡のようなメタリック光沢を放つ源です
4.接着剤層(バインダー層)
転写対象となる素材(紙やプラスチック)に熱と圧力で密着させるための層
*2 真空中で金属を加熱・気化させ、微粒子を付着させる技術
金属箔のメリット・デメリット
金属箔は高い装飾性を持つ一方で、使用上の留意点もあります。
メリット:視覚的な訴求力と多用途性
金属箔の最大の特徴は、その鏡面光沢が製品に即座に豪華さと高い視認性を与え、幅広い分野の装飾を可能にすることです。
・鏡面光沢による強力な訴求
鏡のような高い反射率を持つため、照明や自然光の下で強い輝きを放ちます。競合製品が並ぶ店頭での強力なアイキャッチとなり、PV(認知)率向上に直結します。
・再現性の高さ
金属層と着色クリア層によって色味が決まるため、品質が安定しており常に均一な輝きを提供できます。
・素材特性に応じた対応
紙用金属箔とプラスチック用金属箔が明確に分けられており、それぞれの素材に最適な接着強度と耐久性を持たせています。
デメリット:採用時の留意点と機能性の限界
使用環境によっては光沢や色味が損なわれる可能性があるため、用途に応じた事前の検討が不可欠です。
・耐性に関する留意点
【耐光性】直射日光に長期間さらされると、色あせ(褪色)の可能性があります。屋外や自動車内装など高い耐光性が求められる場合は、耐久性の高い特殊な箔を選定する必要があります。
【耐摩耗性】鏡面光沢を保つため、擦れや傷に注意が必要です。過度な摩擦が想定される場合は、プラスチック用金属箔など接着層の強固なものを選ぶか、保護のためのコーティングを検討しましょう。
・再利用に関する留意点
転写箔は一般的に基材(紙やプラスチック)に定着すると剥がすのが難しいため、リサイクルを前提とした製品設計においては、素材分離のしやすさなどを考慮する必要が出てくる場合があります。
金属箔の多様な種類とデザインの可能性
金属箔の特性により、転写箔(蒸着箔)だけでなく、伝統的な美術・工芸用途の「打ち箔(うちばく)」や産業用途の薄板など多様な製品が存在します。通常のミラー光沢を持つ金属箔に加え、ホログラム箔のように光を回折させ、角度によって色や輝きが変化する特殊な箔も、意匠性を高める選択肢として広く活用されています。
【用途別】金属箔の種類一覧・特性
| 種類(分類) | 名称例 | 主な素材・特性 | 用途とデザインの可能性 |
|---|---|---|---|
| 転写箔(蒸着箔) | ミラー金箔・銀箔、メタリックカラー(青、ピンク) | PETフィルム上にアルミを蒸着。高い鏡面光沢と多様な色調を持つ。 | パッケージ、ラベル、プラスチック容器のロゴ。全面均一な輝きを演出。 |
| 転写箔(金属調) | マット金箔・マット銀箔 | 金属粉(真鍮など)や特殊なトップコートで、光沢を抑えた落ち着いた金属調を表現。 | 豪華さよりも重厚感やアンティーク感を出す装飾。 |
| 伝統的な打ち箔 | 純金箔、本銀箔、銅箔、錫箔、洋金箔 | 金や銀などの金属を薄く打ち延ばしたもので、独特の風合いと輝きを持つ。 | 美術工芸、仏具、内装。転写箔にはない繊細な金属の質感。 |
| 伝統的な着色箔 | 貝箔(青貝箔、赤貝箔)、新光箔、黒箔 | 銀箔などに染料や顔料で着色・コーティング。伝統的な色味や光沢を持つ。 | 日本画、工芸品、特殊な装飾。 |
| 産業用途の薄板 | チタン箔、ステンレス箔、ニッケル箔、ベリリウム銅箔 | 極めて薄く圧延された金属。高い強度、耐熱性、機能性を持つ。 | 電子部品、電池、センサー部品など。装飾用途ではない。 |
紙用金属箔・プラスチック用金属箔の特性
金属箔の転写箔は、基材(転写する対象物)によって特性を使い分ける必要があります。
・紙用金属箔
【特性】パッケージや紙媒体向けの金属光沢箔。比較的低温・低圧で転写しやすい処方になっており、紙箱、グリーティングカード、書籍カバーなどによく用いられます。
【デザイン】鮮やかな光沢を活かしたゴールド箔・シルバー箔が代表で、ブランドロゴや装飾模様を豪華に演出します。
・プラスチック用金属箔
【特性】樹脂成形品向けの金属光沢箔。化粧品ボトルや自動車内装パネル、家電製品のロゴ等に使われます。一般に紙用よりも接着層が強固で、耐摩耗性・耐熱性を高めた処方になっています。
【デザイン】プラスチックの曲面や複雑な形状にも対応でき、高い耐久性を持ちます。化粧品容器向けの耐アルコール性のある金属箔など、用途別に最適化されたものが選定されます。
金属箔の具体的な活用事例
金属箔は均一で強い光沢があることから、製品に付加価値を与える目的で広く活用されています。
パッケージ・ラベル分野(紙用)
・化粧品外箱・酒類パッケージ
ブランドロゴや商品名を金属箔で箔押しすることで、店頭での視認性を高め、豪華な印象を与えます。光沢のある金属箔は、製品の価格帯やターゲット層に合わせた高級感を演出する上で不可欠です。
・書籍カバー・グリーティングカード
書籍のタイトルや装丁に金属箔を用いることで、特別な価値や重厚感を加えます。特に紙用金属箔は、紙の質感と相まって、より意匠性の高いデザインを実現します。また、落ち着いたマット金箔・マット銀箔を用いると派手になりすぎず、上品な印象を出すことも可能です。
製品・容器分野(プラスチック用)
・化粧品容器(口紅、コンパクトケース)
毎日手に触れる製品には耐摩耗性や耐アルコール性に優れたプラスチック用金属箔が求められます。ロゴや装飾に金属箔を使用することで、容器の美しさを長期間保ち、ブランドイメージの低下を防ぎます。
・自動車内装パネル・家電製品
耐光性や耐熱性が求められる用途では、特に耐久性を高めた金属箔が使用されます。パネルやロゴにメタリックな輝きを加えることで、製品全体の質感とデザイン性を向上させます。
ユニークな金属調の表現
金属箔には、転写箔(蒸着箔)以外にも、真鍮粉など金属粉を用いた金属調箔(KANMAKIのBFGOLD#7など)も存在します。これは蒸着箔のような鏡面光沢ではなく、金属特有の重厚でユニークな風合いを出せるため、紙媒体などで他にはない意匠を追求したい場合に適しています。
KANMAKIのよくある質問

ご注文前後によせられるご質問をまとめました。
Q1.最小ロットを教えてください
W640cm×120mのロール2本+試作品を最小ロットとしております。(最低発注金額を100,000円とさせていただいており、その金額で製造できるロットです。)
最小ロットで3cm×3cmのロゴが2万個程度作れる想定です。
Q2.試作は何回対応していただけますか
2回まで対応しています。どういう材質に箔押しをするのかの事前確認やカラーチップによる色の確認を事前に行い、場合によっては試作段階で複数案を提示することで、早期にお求めの製品になるよう調整しています。
Q3.ブランドカラーなど特色の対応はできますか
カラーチップなどで指定色のすり合わせを行い、対応可能か判断して回答しております。
Q4.印刷会社を別途探す必要がありますか
印刷・加工会社の紹介も可能です。やり取りは直接行っていただくことが多いですが、技術的なフォローも可能です。
また、印刷会社をご指定いただいての対応も承っております。
Q5.どのような物体に箔押しが可能ですか
事前に箔押しをしたい被写体を確認いたしますが、様々な被写体への箔押しが可能です。また、KANMAKIはプラスチックへの箔押しについて、技術的にも強みを持っています。
Q6.箔の見本帳やサンプルはありますか
箔の見本帳は現在準備中です。既存品のカットサンプルは無料(送料実費はご負担)にてご提供しております。
Q7.KANMAKIで金属箔の取り扱いはありますか
関西巻取箔工業(KANMAKI)では、金属箔(蒸着箔)の自社製造は行っていません。しかし、お客様の多様なニーズに対応するため、他社製の高品質な金属箔も信頼できるネットワークを通じて取り扱い可能です。
KANMAKIの強みは、自社開発の顔料箔(オリジナル箔)で培った色合わせの知見と、素材特性や加工条件に対する深い理解です。お客様が求める最高の装飾を実現するため、必要に応じて他社と連携し、最適な箔を少量から大量ロットまで柔軟に提案・提供させていただきます。
KANMAKI「箔々」でアイデアと出会おう

デザインの付加価値を最大化するには、資材の選定だけでなく信頼できる加工方法と技術を持つパートナー選びが不可欠です。KANMAKIの強みをご紹介します。
・ブランドカラーを正確に表現する「オリジナル箔の製造」
箔の見本帳にないオリジナルカラーを製造できます。熟練の色合わせ技術で、ブランドカラーを正確に再現し、濃淡、ツヤ・マット、パールなど唯一のカラー表現が可能です。
・高い技術力による「複雑なデザインへの確実な転写」
日本初*3の転写箔を開発した技術力と経験値があります。「色付け箇所が複雑で綺麗に色が転写できない」との課題にも対応。自動車メーターや化粧品ロゴなど、難しい被転写体へも確実な表現を実現します。
・高い耐久性が製品価値を守る「工業用途にも耐える信頼性」
自動車部品の対応実績もあり、擦れや褪色に強い高耐久性を実現しています。1/1000mmレベルの均一で安定した塗膜や、エンブレムやテールランプなど光漏れを完全遮断する高い隠蔽性が必要な用途にも対応。過酷な環境下でもデザインを維持します。
・企画段階から最終納品まで「安心のサポート体制」
- 専門の技術士が採用ニーズを入念にヒアリングします
- お客様の求める表現を探索するため複数回の試作を実施します
- 納品物のズレを解消し、ご納得いただいた上で製造を開始します
*3 参照:企業概要|KANMAKI(関西巻取箔工業)

「ミラー光沢の金属箔が必要だが、どの箔が素材に合うか分からない」「耐久性とデザイン性を両立したい」といった課題をお持ちであれば、ぜひ一度ご相談ください。貴社の目指すブランドイメージを深く理解し、実現性の高い・最良の表現を共に追求してまいります。
【お問い合わせ】
箔の加工に関するご相談や箔サンプル請求など、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

