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パール箔とは?特徴・加工方法・白箔との違いなど徹底解説

パール箔とは?特徴・加工方法・白箔との違いなど徹底解説

パール箔(PearlFoil)は、真珠のような上品な光沢を持ち、下地の色が透けるほど透明性が高い箔です。シンプルながらも高級感や特別感を演出し、デザインに品格を添えます。

【パール箔の特徴】

・下地の印刷色を活かした奥深い表現が可能
・上品な光沢にはパール箔、純粋でマットな白には白箔と使い分ける
・ホットスタンプ、特色印刷との組み合わせで表現力が向上する

本記事では、パール箔(PearlFoil)の定義からメリット・デメリット、真珠箔や白箔との違いまで詳細に解説します。パール箔が映える加工方法や具体的な活用事例もぜひご覧ください。

パール箔(PearlFoil)とは

パール箔は、箔押し加工で使用される特殊な転写箔の一種です。金属光沢ではなく顔料を主成分とする顔料箔に分類され、真珠特有の上品な光沢をもちます。熱と圧力で素材に転写することで、下地の印刷色を活かしつつ優雅な輝きを加えることができます。

パール箔の特徴

パール箔は、真珠(パール)のような干渉色*1と光沢を持つ箔です。光沢層が光の干渉を起こし、見る角度や光の当たり方によっては虹色を思わせる乳白色の輝きを放ちます。この透明性の高さが、パール箔の最大の特徴です。

*1 干渉色:光が薄い膜を通ることで生じる虹のような特殊な光沢で、真珠やシャボン玉にもみられます

パール箔のメリット・デメリット

デザインにパール箔を取り入れることで、以下のようなメリット・デメリットが考えられます。

メリット

1.上品な高級感の演出
メタリックな輝きは「豪華さ」を表現しますが、パール箔は「優雅さ」や「上質さ」といったより奥深い高級感を演出します。

2.下地の印刷色を活かせる汎用性
高い透明性により、パール箔を施す下地の印刷色が透過します。例えば、ピンク色の印刷部分にパール箔を施すと「ピンクパールの輝き」が得られます。

3.デザインの差別化
一般的な使用頻度は金箔・銀箔に比べると珍しいため、他製品との視覚的な差別化となり顧客の目を引く効果が高まります。

デメリット

1.再現性の難しさ
パール箔は光の干渉で輝きが生まれるため、箔のロットや加工を行う紙素材の色・質感・見る環境(照明)により光沢の印象が変化しやすいです。期待通りの輝きを得るには、事前の色校正*2や、高度な加工技術が必要です。

2.コストと時間
箔押し加工は、通常のオフセット印刷*3とは異なり、版(金型)の制作と専用機械による工程が必要です。加工をしない場合に比べ、コストや制作期間が増加する傾向にあります。


*2 色校正:印刷の本番前に色の再現性や仕上がりを確認するために行う試し刷りのことです
*3 オフセット印刷:主流の印刷方式で、版のインクをブランケットというゴムに転写後、紙に印刷する方法です。大量印刷に向いています

パール箔・真珠箔・白箔のちがい

パール箔と似た名称で呼ばれるものに「真珠箔」や「白箔」があります。これらは白系の箔ですが、特徴と用途に違いがありデザインの意図に合わせて適切に使い分けることが重要です。

白系箔3種類の比較

種類特徴・視覚効果適した用途向かない用途・使用上の注意点
パール箔柔らかで上品な光沢。透明性が高く、下地の印刷色を活かす。高級化粧品、招待状など、優雅で奥深い高級感の表現。強い白色やメタリック感が必要な場合。
真珠箔(しんじゅはく)一般的にパール箔の別称。光沢粒子や発色で区別されることもある。基本的にパール箔と同様。メーカー間で定義が異なるため、製品仕様の確認が必要。パール箔との区別を未確認のまま依頼すること。
白箔(しろはく)光沢のないマットな不透明の白色(顔料箔*4)。下地の印刷色を完全に隠蔽する。濃い紙に純粋な白を際立たせる表現。高い視認性が必要なデザイン。光沢や、下地の色を活かしたい場合。

【使い分けのポイント】

・繊細で優雅な高級感にはパール箔、清潔感がありモダンやカジュアルな印象には白箔
・下地の印刷色と重ねて新たな色味を出したいならパール箔
・黒や濃い紙の色を完全に消し、純粋な白を表現したいなら白箔
・線や文字など繊細なディテールを柔らかく表現したいならパール箔

*4 顔料箔:光沢成分に金属を使わず、色をつける顔料やマイカなどを主成分とする箔です。メタリック箔に比べて、色数が豊富で柔らかな質感が特徴です。

印刷加工以外で使われる真珠箔(パール箔)について

真珠箔(パール箔)は、印刷・加工だけでなく伝統工芸の分野でも使われます。例えば、西陣織の真珠箔帯に使用される「真珠箔」は、真珠の貝殻を粉末にしたものやそれらを模した特殊素材を和紙などに貼り付けた独自の素材を指すこともあります。

パール箔が”映える”加工方法とコツ

パール箔の魅力を最大限引き出すには、相性のよい加工技術との組み合わせが不可欠です。

さらに高い視覚効果や目を引く演出をお求めなら、ホログラム箔などの特殊箔も有効な選択肢となります。デザインの意図に応じて、パール箔の上品な輝きと使い分けることでより幅広い表現が可能です。

パール箔の代表的な加工方法:ホットスタンプ(箔押し印刷)

パール箔は、主に「ホットスタンプ(箔押し印刷)」と呼ばれる加工方法で施されます。

【加工方法の概要】

1.熱した金属製の版(金型)を用意します
2.版と紙の間にパール箔(Roll-to-Roll*5)をセットします
3.熱と圧力を加えることで、箔の必要な部分のみを紙に転写(圧着)させます

ホットスタンプによる加工方法は、繊細なデザインの再現性に優れており、パール箔の微細な光沢を紙面にしっかりと定着させることができます。

*5 Roll-to-Roll(ロール・ツー・ロール):連続した長いフィルム状の基材に印刷や加工を施していく方式です。箔はロール状のフィルムで提供されます

パール箔と相性の良い加工技術

パール箔の高級感は単独でも十分発揮されますが、他の加工技術と組み合わせることでより立体感や特別感を強調できます。

1.エンボス加工
箔押し部分の裏側から紙を盛り上げる加工方法です。平滑な光沢に立体的な高低差が加わり、光の反射が増幅され、強い存在感を放ちます。ロゴなど強調したい箇所に有効です。

2.デボス加工(空押し)
箔押し部分を紙の表面から凹ませる加工方法です。控えめながらも紙の厚みを感じさせる重厚感を演出。パール箔の上品な光沢と凹みの影が融合し、洗練された印象を与えます。

3.特色印刷(ベタ印刷)との組み合わせ
パール箔の高い透明性を利用し、下地に特色(DIC、PANTONEなど)で深い色味をベタ印刷します。メタリックには出せない奥深い色のパール感を表現でき、デザインの幅が広がります。

パール箔の具体的な活用例

パール箔は、その上品さから高級商材やパーソナルアイテムに活用される傾向があります。

・化粧品・香水の外装:美しさを象徴し製品イメージと直結します
・招待状・グリーティングカード:特別なイベントの招待状では重要度や特別感を伝えます
・ブランディングブック・会社案内:ロゴや表紙に採用すると信頼感と上質さを演出します
・お菓子の箱・贈答品:控えめな光沢が和洋を問わず贈答品としての品格を高めます

単なる装飾としてではなく、「ブランドの思想」や「製品の価値」を具現化する手段としてパール箔は機能します。

KANMAKIのよくある質問

ご注文前後によせられるご質問をまとめました。

Q1.最小ロットを教えてください

W640cm×120mのロール2本+試作品を最小ロットとしております。(最低発注金額を100,000円とさせていただいており、その金額で製造できるロットです。)
最小ロットで3cm×3cmのロゴが2万個程度作れる想定です。

Q2.試作は何回対応していただけますか

2回まで対応しています。どういう材質に箔押しをするのかの事前確認やカラーチップによる色の確認を事前に行い、場合によっては試作段階で複数案を提示することで、早期にお求めの製品になるよう調整しています。

Q3.ブランドカラーなど特色の対応はできますか

カラーチップなどで指定色のすり合わせを行い、対応可能か判断して回答しております。

Q4.印刷会社を別途探す必要がありますか

印刷・加工会社の紹介も可能です。やり取りは直接行っていただくことが多いですが、技術的なフォローも可能です。
また、印刷会社をご指定いただいての対応も承っております。

Q5.どのような物体に箔押しが可能ですか

事前に箔押しをしたい被写体を確認いたしますが、様々な被写体への箔押しが可能です。また、KANMAKIはプラスチックへの箔押しについて、技術的にも強みを持っています。

Q6.箔の見本帳やサンプルはありますか

箔の見本帳は現在準備中です。既存品のカットサンプルは無料(送料実費はご負担)にてご提供しております。

KANMAKI「箔々」でアイデアと出会おう

デザインの付加価値を最大化するには、資材の選定だけでなく信頼できる加工方法と技術を持つパートナー選びが不可欠です。KANMAKIの強みをご紹介します。

・ブランドカラーを正確に表現する「オリジナル箔の製造」

箔の見本帳にないオリジナルカラーを製造できます。熟練の色合わせ技術で、ブランドカラーを正確に再現し、濃淡、ツヤ・マット、パールなど唯一のカラー表現が可能です。

・高い技術力による「複雑なデザインへの確実な転写」

日本初*6の転写箔を開発した技術力と経験値があります。「色付け箇所が複雑で綺麗に色が転写できない」との課題にも対応。自動車メーターや化粧品ロゴなど、難しい被転写体へも確実な表現を実現します。

・高い耐久性が製品価値を守る「工業用途にも耐える信頼性」

自動車部品の対応実績もあり、擦れや褪色に強い高耐久性を実現しています。1/1000mmレベルの均一で安定した塗膜や、エンブレムやテールランプなど光漏れを完全遮断する高い隠蔽性が必要な用途にも対応。過酷な環境下でもデザインを維持します。

・企画段階から最終納品まで「安心のサポート体制」

  1. 専門の技術士が採用ニーズを入念にヒアリングします
  2. お客様の求める表現を探索するため複数回の試作を実施します
  3. 納品物のズレを解消し、ご納得いただいた上で製造を開始します

*6 参照:企業概要|KANMAKI(関西巻取箔工業)

「自社のパッケージにパール箔は合うのか?」「このデザインに合う加工方法を知りたい」など、少しでもご興味を持たれた方は、ぜひ「箔々」公式サイトにて製品ラインナップや豊富な加工事例をご確認ください。貴社の目指すブランドイメージを深く理解し、実現性の高い・最良の表現を共に追求してまいります。

【お問い合わせ】
箔の加工に関するご相談や箔サンプル請求など、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。